エイリアン通り

成田美名子の作品で一番好きだったかもしれない。お洒落で絵が綺麗でシリアスとギャグが心地よくバランスが取れていた。
アラブの王族とイギリス女優の間に生まれた主人公のシャール。日本人の家出娘の翼。フランス人のジェラール等々登場人物は多国籍で、舞台はロサンゼルスの大学から始まる。
どちらかというと、アメリカの陽の雰囲気が溢れた話だった。
ドナ サマーやクリストファー クロスがBGMとなる時代。80年代の豊かさに満ちた文化が漂う。違和感は、あくまで日本人のイメージで見たアメリカ観であったことだろう。
この作品が始まる前に10か月ほど、ロードアイランド州の私立の女子校に留学していた。
叔父がブラウン大学の音楽科の教授であり、当時1歳の従姉妹のベビーシッターを兼ねて同居させてもらっていた。
叔父のボスであるユダヤ人の家庭のディナーに招待されたのは、到着して4日目くらい。
日本では大人の話に子供が口を出すなと教育を受けていたのに、同席者が居るなら年齢を問わず、chatではなくconversation をしなくては失礼となることをこの時に教えられた。
赤ちゃんの時から親とは別の部屋にベッドがあり、14、15歳頃からステディを探し、選挙権を持たなくとも共和党か民主党か立場を明確にし、政治的ボランティア活動にも積極的に参加、政治サークルでは意見書を作成し事案を送る。学校教育でも、討論式に考えや解答をのべることを当たり前に求められる。
大学の学費も何年もかけて自分がアルバイトをして準備する。
自立と責任、リーダーシップを小さい時から教育され求められる世界だ。
Iという主語が物凄く頻繁に強調されていたように感じたものだ。
俗にプレッピースクールと呼ばれる、ある程度裕福で高いレヴェルの教育を受けられる小学校から高校までの一貫校だったが、junior こと高2のお年頃とあって、ボーイフレンドの話題がほとんどを占める会話に辟易となり、
友達は一学年上のポルトガル人の双子の姉妹やボリビアからの留学生やアイルランド系のスペイン語の先生だった。
母がのちになって、エイリアン通りの翼がアメリカに親の仕事の転勤で住むことになり、英語やスタイル、オリエンタルの容姿コンプレックスを感じる姿を私に重ね心配したそうだ。
最も日本人の叔父や叔母や従姉妹がいたし、
勉強についていくことは早々に諦め、叔父の
本棚から持ち出した司馬遼太郎の竜馬が行くを学校の屋根裏部屋でソファーに寝っ転がって夢中でよんでいたりしたのだから、日本よりは伸び伸びとした留学生活を私はかなり楽しんだ。
何より、アメリカの根底に流れるキリスト教文化の底力と限界を実感した話は、また後にしよう。

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仕事と家事と子育てと趣味の合間の心の本音。 或いは、子供たちに残す覚え書き。 So...Love much! In planet earth.